「毎日新聞社」主催による全日本学生音楽コンクール受賞者演奏会 ご報告
この度、音楽家の登竜門として名高い毎日新聞社主催の第 66 回全日本学生音楽コンクール(高 校の部)で各部門の第1位受賞者に、即成院と仏縁深い全国の経済人から有志を募り、「音楽奉 納・京都研修」を贈ります。
若き音楽家が、良き日本人として主体性を確立して世界に羽ばたけるよう、音楽だけでなく、 日本に息づく文化・伝統・歴史に触れ、身をもって体験することで、生きた経験として世界に 発信していただけることと思います。
今後の若き才能の発展と、皆様のますますのご活躍を祈念申し上げます。
合掌 平成25年4月24日
御寺 泉涌寺 塔頭 即成院 住職 平野雅章
平成25年4月24日〈水〉14:40 開場 15:00 開演
I部
ご 挨 拶:毎日新聞社
祝 詞:企画室 篁・U.S.A.
音楽奉納のための献花 演奏:佐藤勝重
清 浄:平野雅章〈即成院 住職〉
音楽奉納:第 66 回全日本学生音楽コンクール(高校の部)第1位受賞者
奉納演奏:佐藤勝重〈ピアニスト〉 ※クラビノーバ使用
II部 16:55~
祝 詞:篠信治〈ホテル日航プリンセス京都 代表取締役社長〉
感謝状贈呈 奉納演奏とお話『世界に羽ばたく』:上原まり〈筑前琵琶奏者〉
「音楽奉納・京都研修」の提案理由
我家は、5分と離れていないところに武蔵野音楽大学があります。この大学では、世界各国から演奏者を客員教授として招いています。今から37年前のことですが、当時、旧ユーゴスラビア人のオペラ歌手も客員として 大学の近くに住んでいました。私の子ども達が彼女と仲良くなり、帰国するまでの10 年間、家族で交流を深めました。帰国に際し、息子が通う地元の中学校へ、「700名の生徒のうち一人でも聴いて楽しかったと言ってくれたら、意味がある」と言って、コンサートを贈ってくれました。翌年、26歳でリスト音楽院教授となったハンガリー人のヴァイオリニスト一家が帰国する前に、やはり同じ中学校でコンサートを致しました。実は、この時代の中学校は荒れていたのです。
演奏後、アンコールで校歌を丁寧に弾く姿に、生徒たちは驚き、これまで音楽の授業で、声を出して歌ったことのなかった男子生徒が歌うようになり、学内で合唱コンクールができるようになり、卒業式では、生徒の発案で音楽による卒業式が行われました。後の話ですが、このコンサートを報じた新聞を読んだ、当時のハンガリー大使が、ご夫妻を招いた夕食会で「日本によい贈り物をしてくれました。誇りに思います」と、直々に御礼を言われたそうです。こうした間にも、友達が友達を呼んで、ドイツ、ポーランド、イタリア、イギリス、 内モンゴル等の方たちが遊びに来てくれました。
特に、実業家のアメリカ人一家との交流は、親子共に年齢が近く、子供たちは毎日遊んでいました。その間、親は、趣味の話から始まって、子育て、政治、経済、文化と話題はつきませんでした。様々な話に共感したり、違いを知ったりと、本音で話し、お正月からクリスマスまで、お互いの国の季節の伝統行事を一緒に遊び、楽しみました。細やかな草の根国際交流する中で、いくつか気になる共通点に気づきました。
1.ギブ&テイク(自国の歴史や文化を語る)留学先で、音楽を教えて頂くのですから、お返しに、自国の歴史や文化を語り、 身近な日本の四季の行事などを話、伝えることは大切です。
2.宗教について 日頃、日本人同士の付き合いに出てこない話題だと思いますが、外国の方から「あなたは何の宗教を信じていますか?」という質問を受けます。私たち大方の日本人は、堂々と「無宗教です」と言いませんか?実は、私はそう言いました。しかし、その質問の真意は、「お互いの信仰が違うことは問題にはならないけれど、 その人の考え方の核となる物差しを知っている方が理解が深まるし、自分の意見を持っている人の方が、より魅力的だと思う」ということだと教わりました。宗教の質問が、このように導かれる、身近な質問とは思いませんでした。
3.社会貢献、還元することは当たり前社会的に立派になったらそうします、と言う人もいますが、どうでしょうか。今の自分にできることを発表し、伝えることも、とても大切で、若いうちからできることがあります。母校や地元の幼稚園、老人ホーム、病院などに出向いての演奏会など、小さなことから積み重ねてほしいと思います。控えめであることとは、また別の次元と考えています。
4.新聞を読むこと、異分野の人と交流することこれはテレビで見た受け売りの話ですが... ある日本を代表する世界的メーカーの社長が、チャイコフスキーコンクールで優勝した若手ヴァイオリニストを連れて、ジュリアード音楽院の名ヴァイオリニスト、 アイザック・スターンさんを訪ねました。そこでは、ヴァイオリンの話は一切なく、 「あなたは新聞を読んでいますか?」と一言尋ねられたそうです。アイザック・スターンさんのこの一言は、誠実に生きようとする全ての人に通じることではないかと、私は大変感動いたしました。聴く者の心を揺さぶるような演奏者は、新聞を通じて世界に目を向け、異分野の人たちとの交流を持ち、陰ながら己を養う努力をされていることを知りました。この番組を見て、私は、それまでに出会った外国の友人が残してくれた話と重なって、このことを若い方に使えたいと思ってきました。
才能に恵まれ、これから世界に羽ばたく受賞者の方には、是非、生かして頂きたいと思い、この度の企画を思いつきました。千年前からある“仏さまのオーケストラ”への音楽奉納。神社や仏閣、源氏物語の舞台となった京都御所を特別拝見。
異分野で活躍される大先輩のお話。一世代上の先輩との交流など。次の飛躍に必ずや役立つことを信じて、ご提案いたします。
企画室 篁・U.S.A.
榎戸 敬子
祝詞
御寺 泉涌寺 塔頭 即成院 ご住職 平野雅章 様
「音楽奉納 全日本学生音楽コンクール受賞者演奏会 in 仏さまのオーケストラ即成院」 のご開催、誠におめでとうございます。
開催にあたり、平野雅章ご住職様をはじめ、関係各位のご尽力に心から敬意を表します。
本日ご参集の皆様方が、美しい音楽とともに素敵なお時間を過ごされますことと、若い学 生の受賞者の皆様方の今後ますますのご活躍を心から祈念し、メッセージとさせて頂きます。
平成25年4月24日
参議院議員 福山哲郎
プログラム
祝詞
日頃は皆様方には大変お世話になり、心より感謝申し上げます。
まずは、先ほど音楽奉納をして頂きました、全日本学生音楽コンクール高校の部において第一位受 賞された皆様に対しあらためてお祝いを申し上げます。また、左手のみで演奏するなど、素晴らしい 演奏をご披露頂きました佐藤様、本当にありがとうございました。
まずは、只今の演奏を聴いて私は感動いたしました。日頃はコンサートホール等で行う演奏とは違 って、この仏さまのオーケストラの前で演奏されるという経験は皆様にとって非常に特別で感動的な ものであったのではないでしょうか。
私が感動した理由は、皆様が非常に素晴らしい演奏をされたことだけではなく、ミスもなく演奏さ れたその背景にある皆様のこれまでのご努力、ご苦労は大変なものであると感じた事。そしてお一人 お一人の立ち振る舞いが大変素敵で、仏様の前に行く姿、演奏をしている姿、また終わってからの戻 る姿を拝見し、どこでこんな人生経験をされたのかと思えるくらいに、堂々としていて心から素晴ら しいと感じました。本当に皆様は日本の宝物だと思います。
この企画は「音楽奉納と京都研修」という形でスタートした訳ですが、2 年前の 10 月に企画室 篁・ U.S.A.代表の榎戸敬子様から声を掛けられまして、即成院の平野ご住職様、毎日新聞の皆様、そして 私どもが集まり打合せを行いました。その時話に出たのは、全日本のナンバーワンの皆様が今後どの ように活躍されるのかを考えた際、日本にとどまらず世界に向けて羽ばたいていく希望に満ちた皆様 だということでした。そして海外に行きますと必ず待ち受けているのが、「日本はどういう国なの? どうゆう歴史があるの?どうゆう文化があるの?」と問いかけられる事です。そこで、神社仏閣が 7200 箇所もある京都の地において、日本の伝統・歴史・文化の一端を皆様から語って頂くことが出 来れば、この「音楽奉納と京都研修」が活かされた意義の有る研修になるのではないかと考えた訳で す。そして、今年 2 回目の「音楽奉納と京都研修」を迎え、これはずっと継続しなければならない と思った次第でございます。皆様はまだ学生でこれからの輝かしい将来に向け、無限の可能性を信じ、志高く人生を歩んで頂 きたいと思っております。その中で、必ず苦労や困難が待ち受けていると思いますが、その苦労や困 難は必ず人を成長させる糧になります。人間は、苦労や努力を通じて人間としての味わいを深くして いくわけであります。是非、皆様には苦労や困難に正面から立ち向かい、世界のナンバーワンを目指 して精進して頂きたいと心から願っております。
最後になりますが、本日お集まり頂きました皆様方のご健康・ご多幸をご祈念申し上げ、私のお祝 いの挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
平成25年4月24日
ホテル日航プリンセス京都 代表取締役社長 篠 信治
感謝状贈呈
感謝状
貴殿は全日本学生音楽コンクール高校の部受賞者による音楽奉納コンサートの開催 に対し深いご理解とご協力を賜りその実現にご尽力をいただきました。
よってここに感謝状を贈り謝意を表します。
平成25年4月24日
毎日新聞社
出演者略歴
上原 まり筑前琵琶演奏家、元宝塚歌劇団娘役トップスター 筑前琵琶・旭会総師範・二世柴田旭堂の一人娘として、幼い頃から琵琶に親しみ、後継者として「柴田旭艶」の名を持つ。
高校一年で東京新聞主催邦楽コンクール琵琶部門 3 位入賞(最年少受賞)。 宝塚歌劇団入団後は娘役のトップスターとして活躍。「ベルサイユのばら」のマリー・アントワネット役での名演は今も語り継がれている。1981 年宝塚歌劇団を退団後は琵琶奏者として、「平家物語」「源氏物語」、また源平の女たちを描いた「源平女人抄」など、自ら作曲した作品を演奏。琵琶の魅力を多くの人に伝えている。
文化庁長官表彰、松尾芸能賞、古典芸能優秀賞受賞など。
佐藤 勝重第 41 回全日本学生音楽コンクール・ピアノ部門(中学校)優勝 桐朋女子高等学校音楽科(共学)を首席で卒業後渡仏。その後パリ国立高等音楽院を1等賞、 パリ・エコール・ノルマル音楽院の高等演奏家課程を賞賛つき満場一致で卒業。この間、国内
外のコンクールに優勝する傍ら数多くのコンサートに出演。
12 年間の在仏を経て帰国後、ソロを初め数々のコンサートに出演。音楽雑誌への執筆やセミナーでの講義、コンクールの審査員なども行い、桐朋学園音楽大学、昭和音楽大学にて後進の 指導にあたる。ソロCD『ノクチュルヌ ~ピアノ音楽史を彩った夜想曲の系譜~』が“レコー ド芸術”2013 年2月号「器楽部門特選盤」に選ばれた。
京都研修
4月25日〈木〉
10:00 京都迎賓館特別参観
12:00 昼食 ゆどうふの順正 生湯葉・湯豆腐懐石
13:45 平安佛所工房、作品展見学
佛師 江里康慧・戴金 元人間国宝 故 江里佐代子
15:00 清水寺 特別参拝
講堂内 仏足跡特別参拝並びに散華
成就院庭園 特別参拝
本堂並びに清水の舞台へご案内
清水寺門前町散策
17:20 ホテル日航プリンセス京都にて解散式
18:00 京都駅八条口解散
掲載された記事
毎日新聞 2013年4月25日
毎日新聞 2013年5月1日毎日新聞に当日の様子が掲載されました。
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また、毎日jpにおきまして記事が紹介されています。詳しくはこちら
<音楽奉納、研修の様子>